日給１８０万円「影を測る仕事」体験談

高額バイトの誘惑とリスク

俺は佐藤、ただの大学生だ。でも、最近は「普通」なんて言葉からはほど遠い生活を送っている。母親が突然重病にかかり、医療費が家計を圧迫している。学費もどうにかしなきゃならない。アルバイトをいくつも掛け持ちしたけど、全然足りない。だから、俺はあの怪しいバイトに応募したんだ。ネットで見つけた「影の測定員募集」。日給180万円なんて信じられない額だった。でも、俺には他に選択肢がなかった。

バイト先の恐怖：日陰荘の謎

バイト先は、杉並区の古びたアパート「日陰荘」。応募フォームを送信した直後、すぐに返信が返ってきた。まるで誰かが俺が応募するのを待っていたかのような速さだった。簡潔な指示と、当日の持ち物リストだけが書かれていた。でも、その異様な速さに俺は少しだけ不安を感じた。ネットで「日陰荘」について調べてみたら、色々と不穏な噂が見つかった。過去にこのバイトをしたやつが誰も戻ってこないとか、夜な夜な影が動くとか…。でも、俺は金に目が眩んで、その不安を無理やり押し込めた。

謎が動き出す：影がもたらす不安の始まり

バイトの初日、昼間のシフトに行った。102号室に入ると、古びた部屋の湿っぽい空気とカビ臭が鼻を突いた。仕事は簡単だった。壁に現れる影の長さを測って記録するだけ。最初はただの変わったバイトだと思ってた。でも、しばらくすると、何かがおかしいことに気づいたんだ。影が、まるで生き物みたいにわずかに動いた気がした。でも「気のせいだ」と自分に言い聞かせた。だが、チョークでつけた印がいつの間にか消えていたり、影が徐々に長くなっていく現象に気づいて、俺の不安は増していった。

夜のシフトに入る頃には、部屋の雰囲気はさらに不気味になった。影がただ動くだけじゃなく、部屋の隅から何かがざわざわと動いているような音が聞こえてきた。俺は誰かが見ているんじゃないかって感覚に襲われた。そもそも、なんでこんな場所でこんな仕事が必要なんだ？影って一体何なんだ？頭の中には疑問が渦巻いていた。でも、答えなんて出てこなかった。ただ、俺の恐怖心が増していくだけだった。

影の異常な蠢き：迫り来る恐怖の足音

影の動きがますます異常になっていく。影が生き物のように蠢き出し、ついには壁から浮き上がってきたように見えた。俺は恐怖で体が固まったが、影が自分に向かって迫ってくるのを感じて、必死に後退した。影が分裂し始め、部屋中に散らばる異常事態が発生したんだ。俺は冷静を保とうとしたけど、影の動きはどんどん速く、そして不規則になっていった。

突然、影が俺の足元に近づいてきた。影が触れようとしているのを感じて、俺はパニックに陥りそうになった。でも、必死に影に触れないように注意を払った。影はまるで意思を持っているかのように動き、俺を追い詰めてきた。そして、影が立体化し、実体を持ったかのように見えた瞬間、俺はこれがただの自然現象じゃないと確信したんだ。

絶望の瞬間：影との最後の対峙

影に追い詰められ、俺は逃げ場を失った。影は次々と姿を変え、増殖し、俺を取り囲むように動いてきた。このままじゃ命の危険があると感じた俺は、影との最終的な対決に臨むか、それとも逃げるべきか、瞬時に判断しなければならなかった。心臓はバクバクと音を立て、冷や汗が背中を伝った。影が立体化し、徐々に人型に近づいてくる様子に、俺は絶望感を覚えた。

でも、影が人型に完全に変わる直前に気づいたんだ。影が俺に反応しているんじゃなくて、俺が影を引き寄せているんだって。影は俺の恐怖心に共鳴していたんだ。恐怖に打ち勝つことで影を制御できるかもしれないと思い、俺は目を閉じ、恐怖心を抑え込む努力をした。すると、影は徐々に消えていき、最後には完全に消え去った。

闇に囚われた記憶

バイトを終えて、俺は日陰荘を後にした。体は無事だったけど、精神的にはボロボロだった。報酬は無事に振り込まれたけど、俺はこのバイトが一体何だったのか、影の正体は何だったのかという疑問を抱えたままだった。日常に戻ろうとしたが、影の記憶が頭から離れない。

その夜、俺は自分の部屋でベッドに横たわっていた。やっと安堵感が広がり、眠りにつこうとしたその時、部屋の隅に異様に長い影が揺らめくのを感じた。驚いて目を開けたが、何もなかった。でも、確かに何かが俺を見つめている感覚がしたんだ。物語はそこで幕を閉じるが、俺の中には不気味な後味が残っていた。

消え去らない影の存在

数日後、友人からの電話を受けた。「お前、あのバイトやったのか？あれ、ただの仕事じゃないって聞いたことがあるんだ。お前、本当に無事だったのか？」。俺は答えることができなかった。再び影の記憶が蘇ってきた。影が本当に消え去ったのか、それとも…。俺には確信が持てなかった。